アドバイス

2016.08.22.Mon.22:28
高校生の頃、同級生に、Aという子が居ました。
Aは仲裁好きで、誰かが揉めてるというと、よく首を突っ込んで、アドバイスをしたがる子でした。
ただ、そのアドバイスがいつも、「でも別の方向から見たら、こういう捉え方だって出来るでしょ?」
「あなたにまったく非はないの?」「あなたも反省すべき点がある、謝らなきゃ」と、
いつも悩んでる本人に、反省を促す方向に持っていきたがるので、自分の周りには、煙たがる子も多かったです。
(私も内容を聞いた感じだと、明らかに本人に非がない時でも、屁理屈に近い事を言って反省を促す事もよくありました)

ある日の事、私の友人Bが、家庭の事情で病んでしまい、不登校気味になってしまいました。
事情というのは、両親の離婚問題。
お母さんが不倫をしていたのがばれ、離婚するしないで、泥沼になってしまったそうです。

毎日言い争う両親の姿を見て、Bはすっかり参ってしまい、部屋から出られない、
何とか出て学校に来ても、終始顔色が悪く、元々明るい子だったのに、口数が少なくなってしまいました。

私や親しい友人達は、そんなBを励まそうと、Bが学校に来ない日は、Bの家に行って、
その日の授業内容を一緒に勉強したり、たわいのない話をしたり、
少しでもBが元気そうな日は、皆で遊びに出掛けたりしていました。
その甲斐あってか、Bも少しずつ、笑顔を見せてくれるようになっていました。
そんなある日、Aから私や、親しい友人達に、不可解なメールが届きました。
「あなた達がB家に押し掛けて、Bのお母さんが迷惑している。Bにも負担をかけている。
 もう家に押し掛けるな、もっと考えて行動しろ」
要約すると、こういう内容でした。
確かに当時、Bのお母さんは、私達の訪問に、あまり良い顔をしていませんでした。
(多分、自分が揉めている最中に、他人が家を出入りするのが不快だったのではないかと…)
Bの事も、表面上は元気になってくれているようだけど、確かにあまり押し掛けているのも負担かも…と、
この時はAのメールで、反省しました。

次の日学校に行くと、メールを貰った友人達は、全員微妙顔。
でも確かに、Aの言う事も一理あるなぁ…という事で、この日のB家訪問(この日もBは休みでした)を、
控える事になりました。

…結果として、これが最悪の選択肢となってしまいました。
次の日学校に行くと、担任から知らされたのは、Bの死。
家の浴室で、手首を切って亡くなっているのを、明け方発見されたそうです。
唐突な知らせに、私達は全員、茫然自失状態でした。
前にも書いた通り、最近のBは、以前に比べれば元気になっているように見えました。

それなのに、まさかこんな事になるとは…やっぱりAの言う通り、私達の訪問が負担だった?
Bの気持ちを分かってやれてなかってのかと、その時はものすごく悔やんだんです。
その日のお昼休みでした。私が係の仕事を終えて教室に戻ると、Aと友人達が、言い争いをしていました。
しかも一番ヒートアップした友人(普段はすごく大人しい子です)は、Aに掴みかかろうとしていて、
他の子か顔を真っ赤にしながら止めている状態…

一体何があったのかと、事情を聞いて、唖然としました。
・お昼休みに入った途端、Aがやって来て色々言い始めた。
・「あなた達がBを追い込んだ」「考えなしに何度も押し掛けるから」と、
 最初は友人達の行動への批判だった。
・そのうち「だいたいBも、あれだけアドバイスしたのに!」と言い始めた。
・突っ込んで聞くと、Aが一昨日、Bの家を訪れていた事が判明
・その時はBに会えず、代わりにBのお母さんと、玄関先でお母さんと会話したのみ
・その時お母さんから「いつも来る子達に、あまり家に来るなと言え」と言われて、
 言われた通り、私達に例のメールを送った
・次の日もB家を訪れて、言われた通りメールした事を伝えると、
 気を良くしたお母さんから、色々と愚痴を聞かされる
・どういう訳かお母さんの味方になったA、私が説教してやるとBの部屋に上がり込み、Bに説教
・「お母さんは新しい恋を見つけただけ、何も悪い事じゃない」「理解のないお父さんもBも心が狭い」
 「家族が大変な時に協力しないで、人として駄目だ」「今すぐお母さんに謝れ」
 覚えてるだけで、これだけの説教をして帰った(きっとAの事だから、これの10倍は言ったと思います)
・話を聞いた友人、「お前がBを追い詰めたんじゃないか!」と掴みかかる


…Aは全員が経緯を説明し、糾弾する中でも「皆視野が狭い」「他人に責任転嫁しようとするなんて、人間が浅い」と、
自分は何一つ間違っていないというスタンスで、気に病む様子は、微塵もありませんでした。
そんな事をしているうちに、お昼休みも終わり、なし崩しに糾弾大会は終了。
放課後も、まだ食ってかかろうと息巻いていた友人達を、私ともう一人、比較的冷静だった友達が止めました。
どうせ反省なんかしないし、話して皆が不愉快になるなんて損、それよりも、Bを静かに見送るべきだと。

Bの葬儀には、クラスのほぼ全員が参加しました。
Aも居ました。元々さほど仲など良くなかったはずなのに、誰よりも大袈裟に泣いていて、
友人達は、皆拳を震わせていました。私も家に帰ってから、悔しくて悔しくて、
部屋に籠って、ベッドを殴りながら泣きました。
それからAは、クラスの中で村八分状態。それでもどこ吹く風で、普通に他のクラスの、
事情をよく知らない友達と仲良くやって、やがて全員、高校を卒業して行きました。


そしてつい最近の事。Aから何故か我が家に、電話がかかってきました。
(Aはよくある名前なので、大学関係の知り合いと勘違いし、親が取り次いでしまいました)
声を聞いた瞬間、不快感が胸に込み上げて、電話を叩き切りそうになりましたが、どうも様子がおかしい。
いつも自信満々で、ハキハキした物言いのAが、弱々しい声で何かを言うので、話を聞いた結果、分かった事が、

・父の不倫が発覚し、両親が離婚するしないで揉めている。毎日怒鳴り合いの声が聞こえて耐えられない
・しかも父親は、借金してまで相手に貢いでいて、このままだと、大学の学費が払えない。大学辞めるしかない。
・皆に相談しても、誰も親身になってくれない、あんなに私は相談にのってあげたのに!

…大体の事情が分かると、私は淡々と、Aに返していました。

・お父さんは、本当に好きな相手を見つけただけでしょう?何も悪くないじゃない
・それを理解してあげれないなんて、Aもお母さんも、心が狭い
・お父さんの借金含め、家族一丸になって、どうにかしなきゃ!それが出来ないなんて、人として駄目でしょう?
私が言い終えると、彼女は怒り狂いました。
何でそんなひどい事を言うの!?人が大変な時に、思いやりがない!

彼女は気付いていないようでした。私の言った言葉が、自分がBに言った言葉だという事に。
それが分かって、私も爆発してしまいました。

これは全部、あなたがBに言った言葉だ!自分が受け入れられない言葉を、弱ってるBに言ったのか!
この人殺し!

…そう捲し立てて、今度こそ、電話を叩き切りました。
それからもう、Bから電話がかかってくる事はありませんでした。
最近ですが、高校時代の友人に会う事があり、その時聞きましたが、
Aは私以外のクラスメイトにも電話をし、ほぼ全員に、無視されたり、罵倒されたりをくり返したようです。
今は大学をやめてしまい、母親と二人で暮らしながら、アルバイトをしているものの、
精神的に不安定になってしまったようで、どこも長続きしていないようです。


以上で私の話は終わりです。
復讐というよりも、ただの偶然の積み重ねかも知れません。
長い話を、最後までありがとうございました。
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